■■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■■ 英日翻訳ソフト = チューニングすればこんなに良くなる! No.088 2008.11.26 http://www.aptransways.net/ ■■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■■ バックナンバー → http://www.aptransways.net/mmagtop.htm 読者の皆様、ご購読ありがとうございます。 メルマガ発行者の kawa です。 今回の例文は IT 関係の技術文で、ソフトウェアの説明書などで見かけ そうな例文です。 今回の例文とその目標訳 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ 【例文】 The parameter READ lets your program share read access to the object with any other programs that have requested read access under separate IDs. 【目標訳】 パラメータREADにより、ユーザーのプログラムはオブジェクトへの読み 取りアクセスを、別々のIDを使用して読み取りアクセスを要求した他の プログラムと共用することができます。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ 上の例文を翻訳ソフト(F社製)の初期設定で翻訳すると、次のような 訳文が出力されました。 【初期設定での翻訳結果】 「パラメタREADはあなたのプログラムシェアに物へのそれが別々のIDの 下でアクセスを読むよう要求されているいかなる他のプログラムによる アクセスも読ませます。」 △△ まったく意味不明です。 どう見てもこの訳出文は役に立ちそうにありません。 まったく翻訳になっていないわけですが、よく見ると、動詞を名詞で訳し たり名詞を動詞で訳したりしています。 ということは、ユーザー辞書に用語を登録して品詞をわかりやすくして やれば、結果が大きく変化すると予想できます。 そこで、以下の単語(複合語)をユーザー辞書に登録します。 parameter (名詞) パラメータ (←学習機能を使用) read access (名詞) 読み取りアクセス read access to the object (名詞) オブジェクトへの読み取りアクセス share (動詞) 共用する (←学習機能を使用) ユーザー辞書への単語登録により、翻訳結果が次のように変化します。 【ユーザー辞書登録後の翻訳結果】 「パラメータREADはあなたのプログラムに別々のIDの下で読み取り アクセスを要求したいかなる他のプログラムにもオブジェクトへの読み 取りアクセスを共用させます。」 まだまだ決してわかりやすい訳文にはなっていませんが、少なくとも 英文の構造を反映するようにはなりましたので、ある程度のソフトウェア の知識を持った人が読めば、これだけでも本来の意味を把握できるかと 思います。 ただ、翻訳としてはまだまだ×です。 -------------------------------------------- (注) 高額な翻訳ソフトが装備する翻訳メモリー機能(ファジーマッチ 機能)や、変数指定型例文登録機能(パターンマッチ機能)などを使用し て翻訳結果をチューニングする方法もありますが、このメールマガジン では、あくまでも翻訳エンジンとユーザー辞書を使用した翻訳方法に限定 した場合に、どこまでできるかをテーマとしたいと思います。 -------------------------------------------- これをもう少し読みやすくするために、ここで筆者の Web サイトに 用意した訳出文リライトツール(試作版)を使ってこの訳文を書き直して みます。 上記の翻訳結果(訳出文)を以下の URL にあるテキストエリアに貼り付 けて、[リライト実行] ボタンをクリックしてみてください。 http://www.aptransways.net/APF.htm すると、訳文が次のように書き直されます。 【訳文の自動リライト結果】 「パラメータREADにより、あなたのプログラムはオブジェクトへの読み 取りアクセスを、別々のIDの下で読み取りアクセスを要求した他の任意の プログラムと共用することができます。」 これでかなりわかりやすくなったのでは(?)。 IT 分野の知識がないとあまり変わり映えしないように見えるかもしれま せんが、初期設定での翻訳結果と比べると、ずいぶん改善しています。 最後に、このリライト結果をさらに自分の手で再修正します。 ∇∇∇ 「パラメータREADにより、ユーザーのプログラムはオブジェクトへの読み 取りアクセスを、別々のIDを使用して読み取りアクセスを要求した他の プログラムと共用することができます。」 今回の例文のように、名詞と動詞の判断を誤りやすい英文では、まったく 意味を成さない訳出文が出力されることが翻訳ソフトではよくあることで すが、逆にユーザー辞書をチューニングして品詞をわかりやすくする ことで、翻訳結果を大きく改善することができます。 製品によっては、ユーザー辞書のチューニング以外の手段によっても 訳出文を改善できる機能が用意されていることもあります。 -------------------------------------------- ※ 訳出文リライトツールには多少の柔軟性を持たせてありますので、 試しに名詞や動詞などを別の単語に変更してみるとどうなるか、遊んで みてください。 【翻訳ソフトを持っていない方は......】 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ 今現在、手元に翻訳ソフトを持っていない方は、次の方法を試してみて ください。 (1) 今回の例文を、以下の無料翻訳サイトで日本語に翻訳させる。 ・Excite 翻訳 (powered by BizLingo) http://www.excite.co.jp/world/ (2) 翻訳結果(日本語)を、以下のページで自動リライトする。 ・F社製翻訳ソフト対応リライトツール(Fバージョン) http://www.aptransways.net/APF.htm 注: 辞書のチューニングができない分、翻訳結果に問題が残ります。 特に今回の例文の場合は辞書登録による改善効果が大きいので、この方法 による自動リライト結果はあまり期待できません。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ■「メルマガ相互紹介」募集中です! ご希望の方はこちらまでご連絡ください。 kawa@aptransways.net 発行部数にはこだわりません。 創刊後であれば OK です。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ■英語系サイトとの相互リンクも募集しています! http://www.aptransways.net/link.htm 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ―――――――<このメールマガジンについて>―――――――――――\nこのメールマガジンでは、毎回さまざまな英文を翻訳ソフトに翻訳させて、 ユーザー辞書のチューニングや自作ツールによって翻訳品質が大幅に改善 する事例を紹介しています。例文は、一般文、時事英文(ニュース記事)、 技術文(IT 分野を中心とした理科系全般)など、さまざまな分野の英文 から選んでいます。 バックナンバー: http://www.aptransways.net/mmagtop.htm ご意見・ご感想・ご要望は → kawa@aptransways.net ―――――――――――――――――――――――――――――――――\n □―――――――□ 編集後記 □―――――――□ 急に寒くなったせいで危うく風邪を引きそうになりました。寒さで夜中に 何度か目をさました翌日、軽い頭痛と悪寒を感じたので、これはまずいと 思って次の日は真冬並みの厚着をして寝たところ、何とか食い止めたよう です。 たまたま今は本業(技術翻訳)が忙しいので、寝込んでいるわけにはいか ない事情もあり、油断は禁物と気を引き締めているところです。 これからの季節、読者の皆様も風邪やインフルエンザには十分お気をつけ ください。 次回は、12月 3日(水)から 12月10日(水)の間のどこかで配信する予定\nです。 ↓ 英日・日英翻訳ソフトに関するクリックアンケートの最新状況! http://www.aptransways.net/qnaire.htm ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ 英日翻訳ソフト = チューニングすればこんなに良くなる! No.088 発行者: kawa サイト: http://www.aptransways.net/ メール: kawa@aptransways.net バックナンバー: http://www.aptransways.net/mmagtop.htm RSS フィード: http://www.aptransways.net/mmagbn/atom.xml 発行システム: 『まぐまぐ!』『Melma!』『独自配信』 配信解除: 以下のアドレスから読者様ご自身でお願いいたします。 ○まぐまぐ(ID:0000185648) http://www.mag2.com/m/0000185648.html ○Melma!(ID:150733) http://www.melma.com/backnumber_150733/ ○独自配信の方は、このメルマガに対して「配信解除希望」という件名の 空メールを返信していただければ、配信を停止いたします。 無断転載禁止ですが、メール転送は OK です。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞