英日翻訳ソフト活用サイト - AP Transways
このサイトでは、翻訳支援ソフト(主に市販の英日翻訳ソフト)の有効な活用法について考え、翻訳精度を上げるための試行錯誤の事例や有効活用の例を紹介しています。
最近では、インターネットやモバイル端末の普及により、無料の翻訳サイトや翻訳アプリが多用されるようになってきました。
時代の流れと共に翻訳精度も向上してきているので、無料で使用できる翻訳サイトや翻訳アプリはとても便利なツールです。
人間の自然言語をコンピューターによって翻訳する機械翻訳または自動翻訳の技術には、20 世紀後半以降数十年の歴史があり、これまでにもさまざまな翻訳支援ソフトが開発され使用されてきました。
最近の個人ユーザーの間では、無料の翻訳アプリや翻訳サイトが注目されているかもしれませんが、仕事などで長文を翻訳しなければならない立場にいる人々の間では、有料の機械翻訳サービスや市販の翻訳ソフトも使われています。
無料の翻訳サイトと翻訳ソフトの違い
【 翻訳サイト 】
一部のサービスを除いて無料で使用できるのでお手軽で便利ですが、翻訳結果を自分で微調整する機能が用意されていないことがほとんどです。また、大量文書の翻訳には不向きです。
これらの弱点を補完するための機能を有料で用意したサービスもいくつか見られます。
【 翻訳ソフト 】
自分でユーザー辞書を微調整することで翻訳結果(翻訳精度)をある程度改善できます。また、大量の文書を一気に翻訳することも可能です。
この両者間の初期設定での翻訳精度は、ほとんど同程度です。特に、翻訳エンジンのメーカーが同じであれば基本的にほぼ同じ翻訳結果になります。
有料の翻訳ソフトを購入しても、最初から高い翻訳精度を期待することはできません。
ただし、この下に説明する翻訳方式の違いによっては、翻訳精度に大きな違いが現れることもあります。
翻訳方式の種類
現在、長文を翻訳するための翻訳方式には、大きく分類すると以下の 3 種類があります。
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この 3 つの翻訳方式には、それぞれに異なった歴史や特徴があります。
機械翻訳(自動翻訳)のトレンド
(1) ルールベース機械翻訳方式(RBMT)
ルールベース機械翻訳方式(RBMT)は、開発の歴史が最も古くて 20 世紀後半から長く使われてきた翻訳方式で、現在でも市販の翻訳ソフトを中心に広く採用されています。
原文を構文解析した後に単語単位で直訳して文法ルールに基づいて訳文を生成する翻訳方式なので、単語レベルでは原文に忠実ですが、訳出文が不自然で直訳調になりやすい(読みづらい)という特徴があります。
(2) 統計的機械翻訳方式(SMT)
統計的機械翻訳方式(SMT)は、21世紀に入った頃から注目されるようになった翻訳手法で、簡単に書いてしまえば翻訳のお手本となる大量の対訳データをあらかじめ学習させておいて統計モデルとし、それを基に訳文を生成するような感じの翻訳方式です。お手本となる対訳データの質と量によって翻訳精度が大きく変化するという特徴があります。
たとえば、トラベル英会話に特化して充実させた対訳データを使用することで、トラベル英会話に関しては高精度な翻訳ができるけど、それ以外のジャンルではあまり良い翻訳結果を期待できないということが考えられます。
(3) ニューラルネットワーク機械翻訳方式(NMT)
ニューラルネットワーク機械翻訳方式(NMT)は、人工知能 (AI) 技術やディープラーニング技術を活用して翻訳精度を向上させた最も新しい翻訳方式です。2016年の秋頃から、Google、Microsoft、NICT(国立研究開発法人情報通信研究機構)などから相次いでリリースされました。訳出文(和訳なら日本語の訳文)の完成度が高く、自然に読めるところが画期的ですが、誤訳や訳漏れが発生しやすいという致命的な欠点が見られます。
否定と肯定が正訳とは逆になっているような危ない誤訳を目撃することもあり、その前後の文がそこそこ自然な日本語になっていたりすると、誤訳があることに気づかないまま読み進めてしまう危険性があります。
一見してまともに見える自然な訳出文の中に誤訳や訳漏れが埋もれるという状況になるので、ニューラル機械翻訳の翻訳文をそのまま信用するのはまだ危険です。人間による原文との照合チェックが欠かせません。
ですが、時代の流れは、ニューラル機械翻訳方式(NMT)の翻訳精度をさらに向上させる方向に向かって突き進んでいます。この勢いに乗ったまま、誤訳の発生頻度が今後激減するのであれば、非常に楽しみなことではあります。
※ ニューラル機械翻訳方式(NMT)を採用した無料翻訳サイトを、「リンク」ページに一覧表示しています。
英日翻訳ソフトをもっと活用する
これまでの数十年間、機械翻訳の世界ではルールベース機械翻訳方式(RBMT)が主流の翻訳方式でしたので、このサイトでも RBMT 方式の翻訳ソフトを有効活用するためのコンテンツが中心になっています。
今後は、ニューラル機械翻訳方式(NMT)の進化を見守りながら、それに対応したコンテンツを追加できるように模索してゆきたいと思っています。
ただ現状では、ニューラル機械翻訳方式(NMT)による誤訳の危険性を考えると、ルールベース機械翻訳方式(RBMT)もまだしばらくは生き残るだろうと考えられます。
「生き残る」と言うよりは、NMT 方式の出現と予想外の弱点の発見によって、RBMT 方式の利用価値が見直されるのかもしれません。この両者の翻訳方式にはそれぞれに異なった長所と短所があるので、目的や用途に応じて切り替えながら使うハイブリッド的な活用方法も検討されていると聞きます。
当面のところは、NMT 方式の動向を見守りながら、引き続き RBMT 方式の翻訳ソフトに関する情報を追加していく予定です。
英日翻訳ソフトを積極的にチューニングする
市販の RBMT 方式の翻訳ソフトは、使い込めば使い込むほど利用者が期待する結果に近づくタイプのソフトウェアです。もちろん限界はありますが、利用者の使い方と条件次第では驚くほど翻訳結果が改善することがあります。
このサイトでは、英日翻訳ソフト(英語を日本語に翻訳する RBMT 方式の翻訳支援ソフト)を積極的にチューニングすることにより、ユーザーの調整作業だけでもまだまだ翻訳結果を大きく改善できることを、多くの事例(文例)を使って紹介しています。この事例紹介は筆者が発行するメールマガジンと連動していて、そのバックナンバーをサイト内に掲載しています。
翻訳文を自動的にリライトするツール
また、翻訳ソフト(翻訳エンジン)だけではコントロールできない部分(訳文の一部)を読みやすい日本語に自動的に書き直すツール(フリーソフト)を、翻訳エンジンのメーカー別に 5 種類ほど用意しています。このプログラムは、「訳出文リライトツール」ページで試用できるようにしていますので、お手元の翻訳ソフトに対応したページで試してみていただければ幸いです(ただしすべての翻訳ソフトに対応しているわけではありません)。
注記
〈注記〉 翻訳ソフトの翻訳品質を評価したり比較するのがこの Web サイトの目的ではありませんが、このサイトを閲覧することで、ある程度は比較や評価・検討の参考になるかと思います。 このサイトの目的は、利用者側でできる工夫と試行錯誤により翻訳ソフトの活用度や有用性を拡大すること(翻訳精度を向上させること)にあります。 |
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